今日はシューカツネタとは直接は関係ないので、学生さんは添削道場を見ていってね。更新したよ。
最近、気持ちを落ちこませる危険性があるネガティブ語を、引き立てるポジティブ語に言い換えることが流行っているようだ。
ポジネガ辞典という言い換え本が最近出た。同業者でもコーチングをちょっとアレンジ、「相手のヤル気を引き出す!ポジティブトーキング!」となど銘打って新たな研修メニューにしているのをときどき見かける。
ポジ語の効用はこうだ。何をするのも「意欲」が源泉である。相手の言動を変えてもらったり、あたらめてもらったりしたいときにこそ、意欲をそいではいけない。下手くそに「ヘタだから何とかしろ」と言ったら身も蓋もない。「~を改めたらもっとよくなる」という言い方にした方が効果が高い。これは同時に、注意を与える方に高度な観察と分析力が必要とされる。つまり、ポジ語は使われた方には意欲をそがず、使う方には能力を磨く機会を増やすという一挙両得の方法なのだ…といった具合である。
そりゃそうだ。ミスなんてやりたくてやるわけじゃないし、そのうえ怒られたら余計に気分が落ち込む。できなかった部分を頭ごなしに指摘されるよりも、あるべき姿と足りない部分の引き算をしてもらって示された方がわかりやすい。私も、基本的には賛成だ。でも、ちょっと引っかかる部分がある。それは、自分の頭で考えなくなるのでは、という懸念である。
通信講座や研修などの添削で、私はときどき(というかよく)「この表現じゃ何を言いたいかわからん」「上級管理職がこんな視座のままじゃ困る」と突き放すときがある。本気で怒ってしまう受講生の人もたまにいるが、それはそれで仕方ないと腹をくくっている。この場合、「こうしたらよくなる」とポジティブにアドバイスするばかりでは、私に期待されている役割を果たせないような気がするからだ。
ポジ語で評価を伝えるということは、基本的には「現状OK」のサインを示すことである。しかし、そのレベルで満足してほしくないときもある。その際あえてダメだしだけをすることによって、こっちを恨みながらも孤軍奮闘することは、その人の研鑽につながるのではないか。いつもホメホメモードではなく、大人ならば、そのような辛口フェーズも成長段階として必要なのではないかと考えているのだが、どうだろうか。