「誰に、何を売るのか」が商売の基本とすれば、わがLC研究所は「組織や個人に‘言語技術’を売っている」と即答できるようになった。
今まで組織向けに研修講師をやってますだの、昇進昇格論文、採用試験を審査しますだの、大学でキャリア指導をしてますだのと答えてきた。最近、要はウチの仕事は、コミュニケーションツールとしての「言語技術」をブラシュアップするお手伝い。ということがやっている本人にようやくわかってきた。
創業15年も経っていまさらそんなことを言っているのか、と驚かれそうだ。でもやっている本人には意外と見えないものなのだ。以前、IHI社の人と話していたところ、要は御社の仕事はlaunchっていうことですね、と口にするとそう言われればそうだ、と妙に感心されたことがある。ちなみにlaunchは新しい船を進水させる、ミサイルや宇宙船を発射させるといった意味である。嘉永6年の造船業から始まり、現在は宇宙事業を手がけるこの会社を表現する単語として、これ以外には考えられない。
ほか、楽天だったら「バーチャル商店街」、ホンダだったら「とにかくかっ飛ばす」など、しっかりとした企業には、ウチはこれ、というしっかりとしたコンセプトがあるような気がする。
ちょっと心配なのがPanasonicだ、とは知人の言である。知人は先日オープンした大阪のナレッジ・キャピタルに足を運んだ。
企業パビリオンを見て、なるほど、セキスイは「くらし」、サントリーはいろいろやってるけどやっぱり「モルトウイスキー」なのね、とそれぞれの原点を確認できたらしい。ところがPanasonicだけは「?」だったようだ。スマートシティかな、それとも電気がある暮らし?でもこれって関電の仕事だよね?と最後までコンセプトがつかめなかった。最近のPanasonicの迷走ぶりを垣間見るように感じたという。
誰に、何を売っているのか。それが企業の社会的な存在意義であり、役割であろう。ウチのような超零細業者はともかく、大企業こそこのコンセプトを見失っていはいけないような気がする。