『夏休み 子ども科学電話相談』

NHKラジオ『夏休み 子ども科学電話相談』が始まった。天文・宇宙、科学、動物、植物等に関した小中学生(小学校入学前の子のときもある)からの身近な質問に、それぞれの専門家が電話で答えるというラジオ版オン・デマンドの番組だ。

 

番組が始まって今年でちょうど30年。自分の子に聞かせようと思って聞きはじめたが、子どもらが育ってしまった今は一人で聞いている。ここには、「いかにわかりやすく他人に物事を説明するか」というエッセンスが詰まっている。

 

考えても見てほしい。相手は子どもである。専門用語はもちろん、場合によっては「遺伝子」「重力」などの難しめの日常語も使えないのだ。また地球の自転だとか、生殖のしくみなど、答えを理解するうえで必要な知識がない場合も多い。そんな状況において、すべて相手にわかる言葉で、相手の理解の範囲に収まるよう伝えるべきことをブレークダウンしなければならない。

 

こんなときよく使われるのは比喩や例示だ。「遠心力って…そうだね、車が急に停まった時、体だけが先に飛び出しそうになったことあるかな?その力と同じなんだよ」。「食物連鎖」を「命のリレー」と言い換えたこともあった。ああ、そんな表現の仕方があるのか、と感心させられることが多い。

 

また、時折起こるハプニングも楽しい。「今度お母さんに聞いてごらん」というひと言を受け、途中で受話器を置いてお母さんを探しに行ってしまう幼児、住んでいる所を聞かれ「神奈川県横浜市●区○○町××-□-△」と全国放送で個人情報を披露してしまう素直な小学生など。

 

このようなドラマチックなやりとりが2時間余りにわたってたっぷりと聞ける。ヘタなビジネス用のプレゼン書を読むより、よっぽど勉強になるぞ。しかもタダ、聞き逃す手はない。みなさんも機会があればぜひ耳を傾けてほしい。

 

最後に、ユニーク質問集を挙げておく。大人たちの死角をえぐるようなこれらの質問に、みなさんならどう答えるかな?

 

 Q1「鳥はおならをするんですか?」

 Q2「びわの木に砂糖水をやっていたら甘くなりますか?」

 Q3「どうしてうちのカメは鳴かないんですか?」

 Q4「お月さまがいつまでもついてくるのはなぜなんですか?」

   Q5 「動物園のサルが進化して人間になることはあるんですか?」