これってブラック企業ですかね?

この2、3年、学生さんからこのテの質問をよく受けるようになった。タイミングはだいたい内定前後、でも近頃は会社説明会に行く前ということもある。以前は、知っている範囲で「あ~、捉えようによっては確かに」とか「そんな悪い話は聞かないけどねぇ」などとまじめに答えていた。

が、最近は逆に「どんな点で?」と尋ねるようにしている。どこをどう見てどう受け止めるかは、個人によって違うからだ。イメージだけで、「あの会社ヤバい(悪い意味で)」が先行している場合もある。

 

ブラック企業とは何かー全体像としては、人を使い捨てにする企業、といってよい。「ブラック企業大賞 実行委員会」は、1.長時間過密労働 2.サービス残業 3.低賃金 4.育休など休暇制度の実質的不備 5.労働者への人格否定(パワハラ・セクハラ)などを指標として挙げている。

 

といっても、こうした現象は外部から客観的には把握しにくい。長時間労働、休暇が取りにくいなどは日系企業の特徴だし、これを当てはめるとたいていの企業はブラック判定を受けてしまう。またハラスメントは、内部告発という主観的な形であらわになることがほとんどだ。ネット投稿の中には、あきらかに「勘違い元社員」による内容もある。

 

では、学生諸君はどこでブラックか否かを判断すべきか。まず「離職率」に注目しよう。大(院)卒の場合は、3年以内の離職率は30%程度だ。(どんな優良企業でもこれぐらいはやめている!)

 

問題は調べ方だが、上場企業であれば、どこでも会社案内よりはちょっと詳しい業績資料を出している。損益計算書や貸借対照表がのっているやつだ。そこには従業員の年齢・性別構成比などとともに、たいていは離職率がある。この資料をもらって見てみよう。離職率がなければ、社員の平均年齢に注目。会社の年齢に比して社員だけがやたら若いのは要注意だ。要は'回転率’がいいということだからだ。

 

またちょっと勇気がいるが、説明会で質問するのも手だ。ただし「私はできるだけ長く働きたいので、参考までにお聞かせいただけたらありがたいのですが」などと一言添えること。あとは雰囲気。説明会で社員の話し方がやたら威圧的、あるいはいちいち上司の顔色をうかがっているなどは要注意だ。しっかりと観察しておこう。