逆と対偶 其の弐
一徹:「このコラムニストは命題「天才(ジョブズ、ザッカーバーグ)であるなら、片づけができない」を正しいこと、すなわち真ととして述べとるな。それはまあよかろう。しかしこれを根拠として、逆の命題である「片づけができない(自分)ならば、天才である」を真として結論づけるのはどうかな。明らかに命題=真=逆(命題)という誤った論理展開じゃからな」
アッコ:「命題=真=逆が必ず成り立つという考え方は間違っているの?」
一徹:「うむ。単純化するために命題を記号化してみよう。命題は、肯定とその否定の形から考えあわせていくものじゃ。ちなみに¬A,¬Bの¬は否定を表す記号である」
命題A→B:「AならばB」
A:天才である
¬A:天才でない
B:片づけができない
¬B:片づけができる
一徹:¬Bはちょっと分かりにくいかの。これはB「片づけができない」の否定よ。元のBが否定形なのでは¬Bは二重否定の「片づけができる」、すなわち肯定の形となっとる。
そして1つの命題には逆、裏、対偶、つまり以下の通り全部で4パターンが展開できる」
A→B 天才であるなら、片づけができない
逆: B→A 片づけができないなら、天才である
裏:¬A→¬B 天才でないなら、片づけができる
対偶:¬B→¬A 片づけができると、天才ではない
アッコ:「そうねえ…でもこれを見てもやっぱり逆も正しい、つまり真であるような気がするんだけど。違うの?お父さん」
一徹:「わが娘でも、女とは話せんわのう。では、わかりやすく野球ネタにしてみるかの」