今、過去に参加したセミナーの書類を見ている。『Fujitsu 年功序列から成果主義へ(2001年)』『SONY カンパニー制の全貌(2003年)』『Panasonic 事業部制を廃した中村社長の英断(2004年)』そして『SHARP 緊プロが生み出すイノベーション』などなど。
その後、富士通の成果主義は大きく揺り戻し、年功を加味した修正成果主義?に、またパナソニックは昭和8年幸之助さん創設の事業部制を復活、中村体制の残党を整理しつつ今年度なんとか黒字回復にこぎつけた。ソニー、シャープに至っては再建の緒に就いたところで、先の見通しは立っていない。
あの先進的事例とやらはどうなった、セミナー代返せ、と声を大にして言いたいが、当の企業はそれどころではない。この4社にとどまらず、現状打破のための制度改革がダメージを与えたり、寿命を縮めるとどめの一撃になったりということは多い。あれほどもてはやされ、他社も競って真似をした制度なのに、まさに栄枯盛衰、人間万事塞翁が馬(ちょっと違うか)だ。
ただ、一つ言えるのは、役立たずと言われがちなコンピテンシー制度にしろBSC(バランスド・スコア・カード)にしろ、うまく機能している所はある。武田薬品がその例だ。ただこれは事業内容・企業体質を大きく変容させた上での導入である。そもそも、会社の体質に合わない制度はどんなに魅力的に見えようと絶対に導入すべきでない。成功するのは、その社の根本となる「何か」とうまく呼応している場合だけである。
単なる刺激剤としての制度改革は、薬ではなく猛毒になりうる。経営陣がその導入の欲求にとらわれることから、終わりの始まりの一歩が始まるのかもしれない。おびただしいセミナー資料を見つつ、そんな気がしてきた。