「最新の科学研究に基づいたティラノザウルス」とされる復元図(右)が、Twitterなどで最近拡散され、恐竜ファンに衝撃を与えている。
これは実のところ、MoriceMonckcy93なるアーティストが妄想力をふくらませ、描いたイラストにすぎない。しかし恐竜のなれの果ての一部が鳥だ、というのはもはや定説のようだ。
Tyrannosaurus rex - updated version
それにしても残念なことがある。昔々子どもの頃、ダシを取ったあとの丸鳥のガラをしげしげと観察、恐竜の化石にそっくりだと感じ入ったことがある。特にとんがった手羽の先っぽは、ティラノの貧弱な手のあたりを思わせた。その後、骨格標本にすべく肉片を取り除いて乾燥している途中で親に発見され、捨て去られてしまった。
ひらめきは正しかったのだ。当時は恐竜=爬虫類の先祖と捉えられており、「鳥」説は皆無だった。しかし悲しいかな、幼い私は、その直感を形にする仮説形成力を持ち合わせていなかった。大恐竜学者になりそこねてしまい、無念である。
このひらめきは「アナロジー(類似法)」といって企画・立案にはかかせない。Synectics(統合法)という手法でも、対象となる○○について「○○に近いもの」「○○のようだと表現できそうなもの」の洗い出しからはじめ、アイデアを統合していく。
「あだ名づけのうまい奴は、なぜかリーダーシップをとるのがうまい」と経営学者の金井先生との雑談から出てきた言葉だ。これは「あだ名づけが上手=アナロジーが得意=発想力が豊か」という意味付けで説明できるかもしれない。「~みたい、~を連想させる、~に似ている」のアナロジー、妄想力とともに鍛えたいチカラである。