「どんな人にこの本を読んでほしいですか」。インタビューでこんな質問を受けることが多い。私はいつも「すべての保護者に、すべての教育関係者に」と答えている。
強烈な悲しみ、怒りのエネルギーがこもるこの本は、ともすれば学校を中心とする責任者糾弾の本と捉えられがちである。だが、執筆者が一番責めているのは、実は自分自身なのだ。あのとき、どうしてSOSを捉えてやれなかったのか、すぐそばにいたのにどうして救ってやれなかったのか、なぜあのとき「いってらっしゃい」と送り出してしまったのか…。一生涯、問い続けることなる。
そして、その問いに応えてあげることのできるのは、読者のみなさんしかいない。
読んで一しずく、涙を奉じてやってほしい。また身近でこのような事件があった時、手を差し伸べることができないとしても、じっと温かい目で見守ってやってほしい。万一、自分たちの身に同じようなことが起こってしまったら、この本を心のよりどころとしてほしい。
この本は、執筆者の子育てにおける痛恨の失敗談集なのだから。