最近「責任者出てこい!」憤りを感じることが多い。大半はトシのせいだが、ときどきホンマに許せんと思うことがある。これはそのうちの一つ。
職場に不満を持ちつつも、いろいろな事情で職を移ることに踏み切れない友人から、ひさびさに連絡があった。自治体主催の「起業家セミナー」を修了、すごくよかったので私にも勧めるという趣旨だった。内容は、期間半年ぐらいで毎月開催、起業のアイデアをブラシュアップしつつ最後に発表、講師からのコメントをもらうといった流れである。彼女は参加者10名ほどの中で最優秀の評価を受けたらしい。私は聞いた。
「で、いくらくれるの?」
キョトンとしている。じゃあ金以外に何か支援はもらえるのか、と言葉を変えて聞くと、いや、他の受講者にもすごいねって言われたんだけど、と繰り返す。はらわたが煮えくりかえった。カネにつなげる援助なくして、何のための起業家セミナーだろうか。カルチャーセンターじゃないんだぜ。
起業とは、今までなかったモノやサービスを自分で形作って、価値を世間に問う行為である。顧客はその価値を認めるからこそ、喜んで対価を支払うのだ。起業する方も、支援する方も、その覚悟がなさすぎる、税金の無駄遣いだ。たいして発展しないながらも、十数年間零細事業所を経営しつづけるタハラは、強くそう思ったのだった。