形容詞的組織文化 2

 

前回「形容詞的組織文化1」の続き。

 

では、形容詞的組織文化とは何か。定義すれば、「会話やメールなど、やりとりの文の述語がだいたい形容詞・形容動詞で終わる組織」である。形容詞的組織文化(略してKTSBとしようか)でよくみられる表現として、いくつか例を挙げてみよう。

 

●「業績がよい」「業績が悪い」  cf.「業績が上がった」「業績が落ちた」

●「仕事が多くなって大変になった」 cf.「仕事の量が増えて、こなしきれない」

●「そこが本当に問題だ」 cf.「問題の本質はそこだ」

●「手が汚い」  cf.「手が汚れている」

●「作業が遅い」 cf「作業が遅れている」

 

さて、印象としてどうか。後者の動詞的な表現に比べると、前者が主観的・感情的に響くことに気付かれたとおもう。

 

ちょっと専門的なことを言えば、形容詞には「属性形容詞」と「感情形容詞」がある。特に「感情形容詞」は、話者の内面から見た景色を表現するのに長けている。裏返せば、客観性が欠如、つまりメタ認知に乏しい伝え方ということになる。そんな表現がデフォルトになっているのが、KTSBなのである。

 

さて、みなさんの組織の述語はどうか。動詞的か、それとも形容詞的か?

 

 

参考文献:辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術(2015)PHP新書