働き方改革の目指すもの

働き方改革とかけて「残業縮減」「DXの推進」ととく。そのココロは「組織の存続(短期的には’競争力の向上’)」。多くの企業の解釈はそれだ。

 

だが本来この解釈は正しいのか?旗振り役である厚労省のHP『働き方改革の目指すもの』をみてみよう。

 

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。(中略)

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

 

わかりにくい文章だなぁ。願望と目標、目的と手段と結果がごっちゃになってぼやけている。

どうやら、「生産年齢人口が減少」→「育児や介護など家事労働が現役世代を圧迫」→それを「働き方改革」でなんとかせい、という図式のようだ。

 

ツッコミどころは以下のようなところか。

 ・「育児や介護の両立」は本当に「多様なニーズ」か。ニーズというよりは、今まで見ないでやり過ごしてきたものを、しゃーなしでスポットを当てているだけだとおもうが

・「より良い将来の展望が持てる」が、なぜ「目指す」ところになるのか。単なる副次的効果じゃないのか

 

つまり翻訳すると…労働力人口の減少により一人に求められるマルチタスクの本数が増えるから、みなさんは「多様な働き方」をしてね。そうすると我が国は「より良い将来の展望が持てる」から、ということだ。

 

なんのことはない。働き方改革とは官民挙げての『足らぬ足らぬは工夫が足らぬ』マンパワー編であった。みんなで幸せになろうよ、というメッセージが感じられないのが哀しい。厚労省の英訳は「健康と労働、豊かで幸せになる省(Ministry of Health, Labour and Welfare)」なのに。