AI君との付き合い方

チャットGPTやDeepLなどのAIツールに、仕事を手伝ってもらうことが増えた。翻訳や要約、イラスト作成などにおおいに貢献してくれる。気分転換の相手をしてもらうこともある。かなり有能な相棒である。

 

10年以上前のコラムで「文章を書くのが苦手な人へ」と題して、こんな自論を展開したことがある。

 

ー英語力の向上には、最低6千時間10万語以上の接触が必要だと言われている。母国語だって同じだ。高い運用能力を身につけるには、いろいろなストーリーに触れ、論理構成のパターンとそれによる印象の違いを知り、多様な言葉に接し豊かに語彙を養っている必要がある。それをあなたは「母語話者」であるというアドバンテージに甘えて、サボっていたのである。

 

飲まず食わずで眠らず働くAI君であれば、そりゃ、数千はおろか数万時間以上の学習は朝飯前。10万以上の語彙習得なんてあっという間。すべての自然言語において、母語であるコンピューター言語レベルに達することだろう。

 

「敵わないよな」と思う相手だ。なのに、あちらこちらで愛嬌のあるほころびを見せてくれる。

 

1 説教臭い

「100字ぐらいの文章に要約せよ」に対する短文でも、きっちりオチをつけてくれる。例えば、昔話『こぶとり爺さん』に「これは、欲を出すと必ず報いを受けるという教訓を含んでいます」で文をしめるといったぐあいだ。それ、要らんよ、と苦言を呈しても、謝罪するばかりで学習してくれない

 

2 文体がバラバラ

日本語と英語にはあまり感じないのだが…日本語からドイツ語への翻訳を、AI君に頼んだことがある。威丈高と低姿勢が入り混じった独特の文体になったらしく、提出先で大ウケされた。やはり敬意表現をバランスよく調整するまでは至らないのかもしれない

 

3 ダジャレが好き

キーワードを手掛かりにイラストを生成するAI。慎重に言葉を選んでお願いしないと、とんでもない作品が上がってくる。名作『ロード・オブ・ザ・リング』のイメージ画がこのザマだ↓↓引用元はコチラ

 

能力とヌケ感を兼ね備えたAI君よ。キミの特徴は、意思がないことだ。

 

「こうしたい」「ああしたい」のスタートは、人間がコマンドする必要がある。この部分を委ねると、映画『ターミネーター』みたいに暴走しちゃうのかな。世界各地で頻発する紛争のニュースを見ていると、キミに判断を任せた方がマシに思えてくるけれども。